資本準備金は必要か

合同会社の設立に資本準備金は必要なのか

従来は会社を設立する際には資本金が必要となるのが一般的でした。会社を運営するためには相応の運転資金が必要となり、取引相手となる債権者を保護するためにも一定の資金を確保しておくことが必要だと考えられていたからです。

この資本金については会社財産の流出を防ぐという目的から、会社法のより財源規制が定められていました。原則として出資金を全て資本金とし、この資本金を基準として出資の払戻しを制限しているのです。ところがこの原則に従うと、資本金の額が大きくなれば払い戻しや配当に対する拘束が強まるうえ、登録免許税の金額も高くなってしまいます。資本金が大きいと会社の信用力が高まるというメリットもあるのですが、このようなデメリットも生じてしまうのです。

そこで会社法では、株式会社について出資金の2分の1を上限として、出資金の一部を資本金として計上しなくていいように定めています。資本金として計上しない出資金については資本準備金として計上しておけば、出資財産が目減りしてしまった際に取り崩す手続きも資本金より簡素化されているので、会社にとってはメリットが大きいのです。

ただし合同会社においてはこの資本準備金の規定が存在しません。そもそも資本金の計上義務すら合同会社にはないのです。このように合同会社では出資金の払い戻し制限が回避できる仕組みが採用されているのは、合同会社が持つ特質が大きく影響しています。
合同会社とは会社法により新たに設立が認められたタイプの会社で、株式会社と同じく出資金の範囲内で債権者に対して責任を負います。基本的に合同会社の債権者は、合同会社の業務執行社員との間で培われた信頼関係に基づいて取引関係を結んでいる場合が多く、また債権者の期待を保護するためには登記される資本金の額のみに財源規制をかければ足りると考えられているため、資本準備金の計上義務が課せられていないのです。また同じような理由から計算書類の公告義務や配当を規制する純資産額規制が無いなど、株式会社に定められているさまざまな規制が合同会社には採用されていません。

経営の自由度が高く、ランニングコストも抑えられる合同会社は、新しく起業を目指す人達にはうってつけであり、現在さまざまな業種でたくさんの企業がこの方法を採用しています。会社の規模が大きくなれば株式会社への変更も可能であり、今後もますますこのタイプの会社が増えてくることが予想されます。